株式会社ヤマナカ 様

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現場のデータ活用能力を高めし烈な生き残り競争に勝つ食品スーパー

 名古屋を本拠とする中堅食品スーパーのヤマナカは2003年春からETL/OLAP統合パッケージ「THE SAGENT SOLUTION 」をベースとした販売実績分析システムを開発、稼働させている。生き残り競争が激しい食品スーパー業界の中にあって、現場のデータ活用能力が企業の競争力につながると判断した。営業会議の中身が充実するなど、導入成果も見え始めている。

創業が大正11年という歴史を持つヤマナカは中部地方に食品スーパーを71店展開し、売上高1,119億円(2003年度実績)を誇る。
中部地方では、地場の大手総合スーパーのイオン、ユニーなどが比較的に消費の安定した食品販売の強化に乗り出し、厳しい生き残り競争が繰り広げられている。
その中で、ヤマナカはここ数年積極的な営業姿勢を見せる。差別化を狙い、高級食材を専門に扱う新業態店「フランテ」の展開に力を入れる一方で、物流拠点の統合を現在進めており、コスト削減にも余念がない。
そして2003年からは、BIツールを駆使した高度な販売管理に取り込んでいる。データ活用のレベルが高まり、営業会議の中身が濃くなるなど、導入効果も現れ始めてきた。

Y2Kを機にシステム刷新3本の柱でデータ活用促進

もともとヤマナカは、ITを先駆的に活用してきた企業で、28年前、国内スーパー業界では先進的にEOS(電子発注システム)を導入。1990年にはPOS(販売時点管理システム)を全社的に取り入れ、早くからデータ重視の販売管理を実践してきた。
ところが、取り組みが早かっただけに90年代も中盤になると、メインフレームを中心としたホストシステムがレガシー化、目的であるデータ活用がままならない面が出てきた。
業務システム部の情報システム担当チーフマネジャーの福井久造氏は次のように語る。
「従来、同業者と比べてもデータ活用は遅れていると感じていました。問題は、データ活用が定型の紙ベースだったこと。ホストで帳票を打ち出してはいたのですが、本当に営業部門で有効に活用されているのか、疑問でした。発注権限を持つ売り場の担当者が数字を見られないことが一番の問題でしたね」

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「データウェアハウス、BIツールの導入で営業会議のスタイルが変わってきた」

と語る福井チーフマネジャー



一般的に指摘されていることだが、ホストシステムの場合、エンドユーザーがデータを自由自在に加工するのは困難だ。定型帳票のデータをPC上のExcelに再入力したりする手間がかかる。
その結果、担当者がカンと経験で販売計画を立てたり、計画をフォローアップした要因分析が不十分になる面もあった。食品スーパーは、温度や天候などさまざまな条件で販売状況が変わるだけに、本来なら精緻なデータ分析が必要だ。
「営業部門や現場の担当者が迅速、自由に販売・発注データを加工・分析できる仕組みが求められていました」(福井氏)。
転機となったのは、90年代末に現れた西暦2000年問題。自社開発アプリケーションを稼働させていたホストシステムをダウンサイジングし、Windows環境のクライアントサーバ型システムへ移行したのだ。それに伴って受発注機種などをパッケージ製品に切り替え、全店舗へのPC配備も行った(会計など既存アプリケーションの一部を流用するためにメインフレームは温存)。
さらに、2002年には情報システムの中期計画を策定。「データ活用の推進」をテーマとして掲げ、情報系強化を打ち出した。従来は業務系の取り組みが中心だったが、情報系を強化しないことにはデータ活用は高まらない。その前提としてインフラを整備する必要があったのだ。
その中期計画の重点課題のひとつとして、データウエアハウス(DWH)とBIツールの導入があった。
福井氏は「データウエアハウスに注目し始めたのは1996年ごろから。ウオルマートのTeradata活用事例を聞き、当社でも活用したいと考えました。それ以降、ベンダーが伝えてくれる導入事例や同業者の導入体験談を常に注目してきたのです」と話す。
実際、西暦2000年問題でホストシステムをダウンサイジングした2000年にPOSデータ分析ツールを導入、BIの実践を試みたこともあった。従来はホスト上に蓄積していたPOSデータをオープンシステムへ移し替えたことで、パッケージ製品でも容易にデータ分析できると考えられた。
だが、その分析ツールは十分な効果を発揮しなかった。インタフェースはExcelベースながら、分析パターンが定型化されており、自由度が足りなかった。また、拠点間を結ぶ通信インフラが64kbpsのフレームリレーだったため、処理速度が遅いことも使い勝手を悪くしていた。
こうした経緯もあり、DHWとBIツールの導入に踏み切ったのだ。

魅力はGUIベース開発環境トータルサポートにも期待

2002年9月からDWHとBIツールの導入プロジェクトがスタートした。さまざまなベンダーから売り込みがあった中でプロジェクト当初は、富士通ビー・エス・シーが推すグループワンソフトウエアのETL/OLAP統合パッケージ「THE SAGENT SOLUTION 」、三菱電機のDWH製品「DIAPRISM」を中心としたDWHソリューションの2つを比較検討し、最終的にはSAGENTを選んでいる。
情報システム担当マネジャーの日高洋典氏がこう説明する。「COBOL技術者でも開発できる点がSAGENTの魅力。GUIベースのドラッグ&ドロップで処理フローを定義、保存できるので、きちんとした仕様書がなくとも開発・保守できる点は、われわれのようなエンドユーザー企業の情報システム部門にとって理想的でした」

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「分析系のアプリケーションは自社開発に限る」と語る日高マネジャー


スタッフ8人が在籍するヤマナカの情報システム部門では従来、メインフレームアプリケーション中心に自社開発を手掛けており、COBOL技術者が中心だ。SAGENTのノンプログラミング開発環境ならアプリケーションの自社開発が可能だった。
また、ETLツール(SAGENTデータロードサーバ)としての方が知名度の高いSAGENTを、BIツール(SAGENTデータアクセスサーバ)を含めた一気通貫の形態(THE SAGENT SOLUTION )で採用した理由について、福井氏はこう語る。
「他社からの提案は、データウエアハウス製品に別々のETLツールとBIツールを組み合わせる形だったのですが、システム全体へのバランスの良いサポートを考えると、一気通貫システムの方がメリットがあると考えました」

週次で販売情報を集約コンドラ単位で分析可能

2003年6月末、ヤマナカは「THE SAGENT SOLUTION 」をベースに「Weekly Management~売れてる商品を教えます~」と呼ぶ自社開発した販売実績分析システムを稼働させた。開発期間は4カ月足らず。月間約2,000万件もの販売実績データを扱う新システムを短期間・低コストで導入した。
そのシステム構成は図1のようになる。分析対象は、「ポイント管理」「POS分析」「受発注の基幹業務」のサーバ群、経理や営業の計数管理を行うメインフレーム、各店舗で主に発注業務を処理するストアコンピュータと多岐に渡る。

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【図1】販売情報分析システム構成


SAGENTデータロードサーバが各データソースから必要なデータを週次で抽出、変換して、データウェアハウスの「SQL Server」にロード。その後、SAGENTデータアクセスサーバでデータを多次元分析し、SAGENT専用のWebサーバ「Web Linkサーバ」でExcelベースの集計データを全社に約300台あるPC端末に自動配信する。
多店舗展開する食品スーパーらしく、Webライセンスが無制限というSAGENTの利点を生かしているわけだ。貧弱だった通信インフラも全面的にブロードバンド環境に切り替え、ストレスのない処理性能を確保した。
日高氏は「これまでの運用で蓄積されたデータ件数は約2億5,000万件に達しています。データウェアハウスのSQL Serverが時々停止してしまうのは難点ですが、SAGENTのパフォーマンスは満足レベルにあります」と、新システムのパフォーマンスを評価する。
新システムは「Weekly Management~売れてる商品を教えます~」の名前が示すとおり、週次ベースで販売実績情報を集約、多次元分析を実行する。「部門」「デプトクラス(商品構成の中分類)別」「カテゴリー別」「単品別」の4段階で販売実績を管理し、標準的な分析項目である前年同月対比、粗利、PI(売上点数÷客数)値などの他、幅広い医分析項目を網羅する(図2、図3)。

 

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【図2】販売情報分析システムのトップ画面

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【図3】広範囲な項目で分析が可能な販売情報分析システム


ある商品部門の売上高で気になるデータがあれば、単品レベルまでドリルダウンして要因を詳細に分析できる。当然、ユーザーはExcelの機能を使って、元データを容易に加工・編集したりグラフ表示できる。
新システムの導入にあたり、商品分類も見直し、営業部門や店舗が使いやすい時代に沿ったものにした。実は、POS上は1990年に新規導入した際に策定した商品分類をそのまま使っているのだが、マスター側で最新の商品分類に変換、集計する仕組みだ。全面見直しに伴う高いリスクを避ける次善策である。
また、各単品は「産地」「調理法」など9項目の属性情報を持つので、任意の属性情報を軸にした分析も可能だ。また、時間やエリアの設定を自由に選び、1万数千点に及ぶ取扱品の詳細な単品管理が行える。課題だった非定型分析を実現した。
さらに、営業部門の要求で付け加えられたのが、「ゴンドラ(陳列棚)別」での販売実績管理(図4)。売り場を構成するゴンドラ単位で販売実績を把握して、回転率の悪いデットスペースをいち早く発見。効率的な売り場づくりの参考になる。

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【図4】現場の要求で追加されたゴンドラ別分析のサンプル画面


こうした機能追加が容易なのも、ヤマナカが従来とおりアプリケーションの自社開発にこだわっているからだ。「現場の要求に応じて変化していく分析系システムで、わずかな変更や機能追加で開発ベンダーを呼んでいたのでは、時間的にもコスト的にも意味がない。分析系こそ自社開発のメリットが大きい」(日高氏)。

営業会議の中身が変わるPOSデータを全面的に活用

「Weekly Management~売れてる商品を教えます~」の運用が始まってから1年半が経ち、ヤマナカの経営はどのように変わったのか。
今のところ定量的な効果は測定できていないが、定性的な効果は見えてきた。毎週実施される営業会議のスタイルが変わってきたのだ。各商品部門の担当者が会議前に販売実績を分析し、現状と改善点をまとめて会議に臨めるようになった。
従来は、各担当者は結果としての販売実績は把握できても、データに基づいた要因分析まで手が回らず、ともすると営業会議が結果報告会になりがちだった。新システムが稼働してから、営業会議の中身が濃くなっているのは間違いない。
その背景では、「BIツールは導入しても活用されないと意味がない」と、周知徹底に力を入れたことが功を奏する。たとえば、アクセスログからユーザーごとの利用頻度を測って、頻度が小さいユーザーには警告を発し、経験とカンに頼りがちになる各担当者にデータ活用を促した。
それでも福井氏はまだ現状に満足していない。「商品部など本社営業部門の利用はそれなりに進んでいますが、肝心の店舗での利用度はいまひとつ。必要最低限のレベルに留まっています」と、厳しく見る。
ヤマナカは社内のデータ活用のレベルをさらに高めるために、新システムに対する第2弾、第3弾の機能拡張を構想している。
現状ではPOSデータから抽出するデータは一部に限定されているが、適用範囲を広げようというものだ。2000年問題を契機にオープン系POSへ入れ替えており、取得可能なデータの範囲は従来のホスト系に比べて格段に広い。値引率やレシート情報などを網羅した高度な販売実績分析システムの実現を視野に入れる。
食品スーパー業界のし烈な闘いにさらされているヤマナカとって、営業部門や現場の「データリテラシー」が大きな武器となりそうだ。